難民申請という裏口就労
仕事の経験を重ねると、外国人の移住と就労には非常に厳しいと思われる、日本の入国管理政策にも、色々な裏口がある(あった)ことが分かってきます。
そのうちの一つが、難民認定申請中に特定活動への変更を行うことです。次のグラフを見てください。
黄色の棒グラフが難民申請者の数、青と茶色が認定された人の数です。まず申請者数が2011年くらいから爆発的に増えたことに驚かされます。シリア難民の増加の影響があることは間違いありませんが、2018年から急減していることと、整合性が取れません。
実は、2018年に入国管理局の政策が変更されたのです。
簡単に言えば、それまでの難民申請増加部分の6割以上は、就労を目的とした「疑似難民申請」だったのです。法令で難民申請を行ってから6ヶ月経っても、認定/不許可の結論が出ない時は、特定活動という在留資格に変更して、1年間は制限なしに就労ができたのでした。これを狙った日本移住者が激増したのです。
1年以上の更新はほとんど無理ですが、1年日本で働けるだけでも母国の10年分くらいの収入になる人も多いし、1年の間に日本人や永住者と結婚すれば、就労制限がなくなります。そういう人たちの為の、結婚マッチングアプリも繁盛しています。
しかしこれは難民政策の著しい「本音とタテマエの使い分け」に当たることから、入管庁も政策を変更し、2018年以降は度重なる難民申請は拒絶し、初回であっても短期滞在以外の在留資格からの難民申請は就労させないことにしたのです(短期滞在からの難民申請による裏口就労はまだ可能です)。
難民認定率の極端な低さにも問題がありますが、本音は外国人労働力を求めタテマエは拒否するという、移民政策の欺瞞性こそ問題だと言わざるをえません。(K)