日本で外国人は創業できない?
外国人の中には、日本で会社を作ってビジネスをしたいという方が、少なからずいます。そういう人たちのために、「経営・管理」という在留資格が用意されています。
これはこれで、取得は簡単ではないのですが、もっと大変なのが会社を登記したあとの法人口座の開設です。実は、日本人でも新規の法人口座を作るのは難しいのです。個人事業主が法人になる、いわゆる「法人成り」は銀行も歓迎しているのですが、新規の場合は、よほど条件が整わないと難しく、これが外国人となると不可能に近いような条件を課しているのです。
先日、ある外国人が設立したばかりの合同会社の法人口座を作ろうと、ある信用金庫の責任者と話した時の会話を抽出します。
信用金庫:「その方は日本語ができますか?」
行政書士:「いや、滞在3年になるのですが、まだできませんね。」
信用金庫:「それでは、口座を開設することはできません。」
行政書士:「はあ?なんで。ネットバンキングを使うから、日本語なんて要りませんよ。」
信用金庫:「いえ、口座開設お申し込みの際に約款を読んでいただき、御理解した上でサインしていただかなければなりませんから。」
私は、開いた口が塞がりませんでした。これは、外国人には日本で創業するなといっているのに等しいのです。こんな国がどこにあるでしょうか?金利がゼロの日本で、今や銀行の存在価値は会社同士、会社と従業員、会社と税務署など行政機関とのトランズアクションにしかなく、そのために預金してあげようといっているのに、まるで紙幣にハンコを押さなければ振込ができないかのような、ばかばかしいことを言っているのです。
もちろん、この信用金庫の責任者の方が悪いのではなく、日本政府の金融行政が悪いのです。
いわゆるマネーロンダリングなど、一部の人間の不正によって生じる社会的リスクと、外国人に創業させないことによる経済的損失、国際的損失を天秤にかければ、後者の損失のほうが大きいことは明らかではありませんか。
別の地方銀行では、「会社の事業実績がなければ法人口座は開設できない」ようなことを言われました。創業したばかりの会社にどうして実績があるでしょうか?ちなみにこの地方銀行は、私の合同会社が創業した時に法人口座を開いた銀行でしたので、これも明らかに外国人による法人口座の開設を事実上認めない施策だといえます。(この案件は、現在進行中ですので、結論が出たらご報告します)(K)